入門にあたって

香道入門にあたって

香道入門にあたって

沈水香木

 香道は老若男女を問わず、どなたでも入門していただけます。香りや伝統文化に少しでも興味関心をお持ちの方は、ぜひお近くの教場におでかけください。初心者の方にも講師がわかりやすく指導いたします。

 香道は決して難しくありません。もちろん、「香席法度」といい香会・香席でのルールやマナーは決められていますが、一般社会での基本的常識さえあれば、とくに問題はありません。何よりも継続こそ上達の極意です。洗練された作法を通して、奥深い香木の香りをお楽しみください。

実践香道―[組香編]

実践香道―[組香編]

一

通常の稽古は、「組香」と呼ばれる、香りを聞き当てる競技の形式で行われます。手前は香を炷き出す係の「香元」と、記録係である「執筆」の二名で進められます。組香は、古典文学や季節の移ろいなどを題材に、今日までに数百種が創られています。

二

香元は予め截断されたごく少量の香木を、手の平サイズの「聞き香炉」に載せます。香炉の中には火のついた炭団がいけ込まれてあり、灰で円錐形に覆われています。その上に「銀葉」という雲母の板をかけ、煙りを立てないようにして香を炷くのです。

三

「連衆」と呼ばれる組香の客は、原則としては八名。手前の二名を含めて十名で、順に心静かに香を聞きます。組香は香りを聞き当てることに目的があるのではなく、情趣豊かに、奥深い香木の香りに親しむことが大切なのです。

四

香炉が回って来れば、右手で取って左手の平に載せ、軽くおしいただいてから香炉の正面をはずし、右手を筒状にして香炉を覆い鼻に近づけます。香炉を水平にし、三回又は五回、静かに香りを聞いて記憶に留めます。

五

数種の香を聞き終わってその異同が判明すれば、ルールにしたがって「記紙」という小さな用紙に、銘々答えをしたためます。それを回収して、執筆が記録用紙に写し換え、正解と照合して採点します。

六

記録用紙には、正解や銘々の答え・得点の他、その組香の元になった和歌や名目などが記入されます。さらには当日使用した香木の銘が書き添えられ、この記録を全員が拝見して、一座の香席が終了します。